むずむず脚症候群
2013/09/06更新
むずむず脚症候群は、足がムズムズするような症状があらわれるのが特徴です。足が痛くて眠れないこともあります。
むずむず脚症候群は、英語でRestless Legs Syndromeといい、よくRLSと略されます。
じっとしていたり、横になっていたりなど、安静にした状態でいると下肢が「ムズムズする」「じっとしていられない」といった訴えが出る症候群です。
症状
眠ろうと布団に入ってじっとしているときに足などがムズムズして眠れなくなります。また、寝ていてもこの症状のために目が覚めてしまうこともあり、睡眠障害の原因となります。
- ふくらはぎや大腿部など脚を中心に虫がはうようなむずむずとした不快感が現れる。
- 夕方から夜間にかけて症状がひどく出る。
- 特に座っているときや寝ているときに症状が現れる。
- 重症になると、脚をひっかき回したい衝動が出るほどの不快感。
- 歩きまわると楽になるが、寝るとまた症状が悪くなる。
- 夜中に症状が出て目が覚め、再入眠できなくなる。
原因
正確な原因は解明されていませんが、次のような人がなりやすいとされています。
- 女性のほうがなりやすい。男女比は4:6。
- 若年者より中高年者。
- 腎機能の悪い人。
- 妊婦。
- 関節リウマチを患っている人。
- パーキンソン病の患者。
- 鉄欠乏症貧血の人。
また、しばしば遺伝することも知られています。
むずむず脚症候群の原因としては、決定的なものはありません。しかし、鉄欠乏やドーパミンの合成異常が関係している説が有力となっています。
一昔前は、透析治療を余儀なくされた腎不全の患者さんにむずむず脚症候群が頻繁にみられましたが、透析治療の進歩により、腎臓性貧血が少なくなり、それに伴いむずむず脚症候群が激減しています。
周期性四肢運動障害を合併しやすい
周期性四肢運動障害は、睡眠中に5秒〜90秒周期で、足がピクンピクンと蹴るような動きをする症状が現れます。むずむず脚症候群の5割〜8割の人が周期性四肢運動障害を合併するとされています。むずむず脚症候群と周期性四肢運動障害が合併した場合は、寝付きの悪さ、眠りの浅さ、中途覚醒のしやすさ、再入眠しにくさから強い不眠になります。周期性四肢運動障害だけが起こる場合は、中途覚醒の自覚がないものの、熟眠できず、昼間の眠気に悩まされることが多くなります。
治療
欧米ではパーキンソン病の治療薬にも使われるドーパミン受容体作動薬(ドーパミンの機能を促進する薬)が、むずむず脚症候群の治療薬として使われています。また、レボドパ製剤や抗けいれん薬の一部も有効です。日本でもビ・シフロールやレグナイトという薬が開発され、治療に使われています。その他、クロナゼパム、バルプロ酸といった抗てんかん薬が有効という報告もあります。
日常生活に注意することで悪化を防ぐことができます。カフェインやアルコール、ニコチン(たばこ)は症状を悪化させるので避けましょう。また、肉体疲労も影響します。よく運動した後は寝る前にマッサージしましょう。
妊婦が出産したり、鉄分を補充したり、腎機能が改善したり、原疾患を治すことで、むずむず脚症候群が完治する人もかなりいます。
治療の際の注意点
治療の注意点としては、むずむず脚症候群によって引き起こされた睡眠障害にも関わらず、よく眠れるようにと睡眠薬が処方されてしまうことです。睡眠薬の効果で眠気が生じても、ムズムズする不快感には勝てず、眠いのに眠れなくなって余計に辛くなるといった訴えが少なくありません。睡眠障害で通院されている方でむずむず脚症候群の症状に心あたりがある方は、主治医に相談しましょう。