睡眠時無呼吸症候群
2013/09/07更新
睡眠時無呼吸症候群とは睡眠時に呼吸停止または低呼吸になる病気です。
眠っているときに無呼吸の状態が頻繁にみられるため、家族の指摘で発覚する場合もあります。ひとりで寝ている人は症状に気づきにくく、日中の居眠りなどに困って受診して初めて分かる人もいます。
睡眠時無呼吸症候群の8割強は「閉塞性睡眠時無呼吸症候群」というタイプのものです。その他、「中枢性睡眠時無呼吸症候群」というものがあります。中枢性睡眠時無呼吸症候群とは、呼吸運動機能自体の異常で起こる睡眠時無呼吸症候群です。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群の定義
閉塞性睡眠時無呼吸症候群には、次のような定義があります。
- 昼間の眠気を伴い、睡眠中に1時間に5回以上、1回10秒以上呼吸が停止する(無呼吸)か、呼吸の量が正常値の半分以下になる(低呼吸)場合
- 眠気が無くても1時間に15回以上無呼吸や低呼吸が起こる場合
症状
- 激しいいびき
- 日中の強い眠気
このような症状が見られる場合は閉塞性睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。一度受診しましょう。
また、いびきや歯ぎしりを伴うことが多く、無呼吸から戻る時に大きな呼吸音をたてるという症状もみられることがあります。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群が起こる仕組み
肥満や扁桃腺肥大などでもともと気道が狭くなっていると、睡眠中に喉の筋肉が緩んだ時、舌根や口蓋垂が落ちこみ気道が塞がってしまい、無呼吸になります。
睡眠時無呼吸症候群による悪影響
睡眠時無呼吸症候群の人は寝不足なので、さまざまな悪影響が出てきます。
- 集中力の低下。ミスを犯しやすくなる。
- 居眠り。事故につながる可能性も。
- 血液中の酸素が少なくなり動脈硬化を促進する。高血圧、心筋梗塞、脳卒中のリスクが高くなる。
- 不眠のため、うつ症状が現れることも。
重症につながるケースもあります。家族の中に、激しいいびきをかき、呼吸が止まっているような人がいるなら、専門医の受診をすすめたほうがよいでしょう。
また、睡眠時無呼吸症候群は本人が自覚していないケースがあり、これまでもパイロットや新幹線の運転士などの居眠り運転事例が問題となっています。大事故にもつながりかねないので、注意が必要な病気です。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群になりやすい人
- 太っている人。のど周囲の脂肪によって気道が狭くなる。
- あごが細くて小さい人。あごの細い人は気道が塞がれやすい。
- 下あごが引っ込んでいる人。
- 扁桃腺が大きい人。
- 気道が細い人。
- 舌が大きい人。
- 閉経後の女性。
- 甲状腺機能低下症の人。甲状腺ホルモンの分泌が低下すると、のどの組織がむくんで気道を狭める。
- 閉経後の女性。黄体ホルモンの分泌が減ると、呼吸筋が衰えやすい。
自分で睡眠時無呼吸症候群かどうか調べる方法
スマートフォンのアプリやICレコーダーを使って録音してみましょう。受診のときに持っていけば、診断にも役立ちます。
治療
CPAPやマウスピースで呼吸を助ける方法があります。太っている人ならやせるだけで治る可能性もあります。
減量
肥満の人はやせましょう。体重を1割落としたら、無呼吸や低呼吸の頻度が3割近く減ったというデータがあります。
CPAP
CPAP(シーパップ)は、鼻にマスクをあてて強制的に空気を送り込み、のどが詰まらないようにする機械です。寝る時に装着します。主に、無呼吸や低呼吸が1時間に20回以上起こる人に用いられます。機械から出る風に不快感を感じて使えないという人が2割ほどいます。
マウスピース
マウスピースを上下の歯の間に装着して、下あごを少し前方に引き出すことによって、気道の閉塞を防ぎます。CPAPが使えない人や無呼吸や低呼吸が1時間に20回未満の人に主に用いられます。
生活上の注意
アルコールはのどの筋肉を緩めるので気道を狭める要因になります。また、睡眠薬ものどの筋肉を弱めるので、重症の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の人は避けるべきでしょう。